このココログ記事をたまたま見て、似たような思いをしたことを思い出した。
あれは(遠い目をしている)、一人で信州をオートバイツーリングしていた初夏のことだ。今もやっているのか知らないが、ツーリングのオートバイ同士がすれ違う時、ライダー同士ピースサインを出す、という慣習があった。知らない者同士がすれ違う時の一瞬の邂逅と別れ。そんな時、ライダー同士は挨拶として左手でピースサインをお互い出し合うのだ。これは相撲の立会いと同じで、お互いが同時に出し合った時は一種の快感まで上り詰める。「こんちは」「ヨッ!」「お互い気をつけようぜ!」といろんな意味がその二本指には込められている。
その時、私は山の中のワインディングロードを風を切って走っていた。木々の緑のトンネルの中、木漏れ日もさしていて気持ちいい。前方からの対向車もなければ、後ろにも誰もいない。自分だけに放たれた自由の空間だった。
私はこんな時に前方からオートバイが来れば、こんな風にビシっとピースサインを出すのに、と実際に出してみた。いや、こういう方がかっこいいかな?と修正も加えて、2、3回、いや正直に言うと、7、8回はいろんなパターンでピースサインの練習を繰り返していた。
ふと気づいた。バックミラー越しのすぐ後ろに。いるではないか。オートバイが。(オーマイガー!)
えっ? いつからいるのですか、あなた様は。もしや、今までの私のピースサインの練習を見ていたのでしょうか、後ろからじっくりと。そんなことはないと願いつつ。
彼はしばらく後ろを走っていて、その後私を追い抜いた。その時、ピースサインをこちらに出した。嗚呼、やはり全部見られていたのだ。
緑がまぶしいロードを駆け抜けながら、ヘルメットの中はカアーと熱くなったまま、その後のことを覚えていない。
目には青葉(あおば) 山ほととぎす 初鰹(はつがつお) 山口素堂
Many were over, young man hot tongue is, hats guts on.
tongue:舌
hats:帽子の複数形
guts:「ガッツだぜ」のガッツ。根性 gutの複数形
解説
夏が近づくと、回りが若葉の色に染まるのが目に入ってくる。山ではほととぎすが鳴きだし、初鰹の時期でもある。
外国人への解説(nifty翻訳ページより)
If summer draws near, that the surroundings are dyed the color of verdure will go into an eye. In a mountain, a little cockoo begins to cry and it is also the time of the first bonito of the season.
私が追いついたオートバイも同じことをやっていたことがある。皆同じなんだな。その時私は思わずブレーキをかけて、彼に気づかれることなく静かに離れました。
最近のコメント